All American アメリカ代表万年筆──オールアメリカン

オールアメリカンの立ち位置

今回は本ブログに於いて2本目のConklin万年筆、オールアメリカンをご紹介致します。

コンクリンというブランドについては、過去記事をご参照下さい。

kaerupyon.hatenadiary.com

国内定価は税込16500円。字幅はFのみ、鉄ニブのみ。ペン先の選択肢が制限される分、カラバリは結構豊富です。私が購入したのはトートイスシェルというカラー。まあ要するに、べっ甲ですね。オールドスタイルな万年筆なので、どうせならトコトンじじ臭い(良い意味で)見た目のものにしようという意図で、べっ甲カラーにしました。

ちなみにコンクリンに関してご注意いただきたいのは、2023年11月現在では既に国内正規代理店が取り扱いを終了しているという点です。購入しても万全のサポートは受けられないのでご注意を。Duragraphの記事を書いた時にはまだ取り扱われていたのですが、あれから半年くらいの間に取り扱い終了になっていました…

実はこのペンを今回記事にしたのもコンクリン追悼の意味をこめて…という側面があります。南無南無。個人的にはコンクリンの万年筆は結構好きだったんですが、これからコンクリンを手に入れようと思ったらアメリカから個人輸入するしかないですね。円高になったらクレセントフィラー買いたいなと思っています。

見た目について

残念ながら、私はこのオールアメリカンという万年筆に関して殆ど語るべき知識を持ち合わせておりません。なにぶん元のモデルは100年以上前の万年筆ですから、私には何が何だかさっぱりです。おかげで、ある意味ニュートラルな状態でこのペンを評価出来ました。

では、初心に帰って開封から。箱はこんな感じのシャレオツなボックスです。ジーンズをイメージしてデザインされていると思われ、しっかりステッチまで入っています。

私の知る限り、日本で展開されているコンクリンはどれも共通でこのボックスだと思います。

全体の概観はこんな感じで、葉巻型のずんぐりむっくりとした形状。とてもではないですがスマートな見た目…とは言い難いですね。この圧倒的ジジ臭さ…!(褒めてる)

シュッと角張ったところは見当たりません。ほぼ全ての部分が丸みを帯びています。おっさん向けというより、優しげなおじーちゃま向けなビジュアル。おじーちゃまの眼鏡を彷彿とさせるべっ甲カラー…未だ嘗てこれ程までにヨボヨボした万年筆が存在していたでしょうか?否!

ヨボヨボ感の源であるボディーの樹脂を見てみましょう。べっ甲というには若干白成分が多い様な気もします。光を当てると茶色に近いクリーム色。

クリップ形状もちょっと独特です。途中でシュッとくびれるデザイン。単独だとネクタイピンの様にも見えます。

横から見るとこんな感じ。

そして──オールドスタイルな万年筆には欠かせない要素であるところの──胴軸の文字…!

どうせ表面に白っぽい文字でプリントしてるだけなんだろうなぁ…と見せかけて、ちゃんと彫ってあります!ちゃんと彫ってあります!(大事な事なので2回言いました)

表面にプリントしてあるだけだと「ふへへ、オールアメリカ~~ン」とニヤけながら文字をさすさすしているうちに剥げていき、いつかは消えてなくなってしまいます。しかし彫ってあれば、半永久的にこの文字は残るのです。つまり半永久的にさすさす出来るという事を意味しています。

更に他にも(というか本来の)メリットが。あと半世紀くらいして私がおじーちゃまになってから、突然ポックリ逝ってしまっても大丈夫!何も知らない孫達にも、この万年筆がコンクリンでトレドでオハイオでUSAで、なんかオールアメリカンって書いてあるから取り敢えずアメリカンな代物であるらしいという事が一目瞭然ですね。

…まあ何にせよ、現地価格100ドル程度の廉価な万年筆である事を思えばありがたい仕様です。嬉しい誤算。(米国都市部の物価を考慮すると、日本でいう5000円くらいのイメージですからね)

価格を考えれば当たり前ですが、カートリッジコンバーター両用式です。どうしても吸入式じゃなきゃ嫌なんだい!という困ったさんには、3万円もあればクレセントフィラーという世にも奇妙な吸入方式がお楽しみいただけますのでそちらをお買い求め下さい。

ニブのハート穴はコンクリンのトレードマークとも言える三日月(クレセント)型。これだけでもレトロな雰囲気が漂ってきていて、コンクリンの万年筆を買う理由になります。

お馴染みJowo社製の鉄ニブですので、書き味は特段可もなく不可もなく。悪くはありませんが面白みはありません。まあ、書き味を求めて買う様なペンではありませんから当然です。ストレスフリーにサラサラと書けるのですから筆記具としては申し分ないでしょう。

ペン芯も他のペンと共通で使われている見慣れたやつですね。この個体は以前と違って調子が良くて、ペリカンのインクでも問題ありませんでした。

横から見るとスラッとしていて、個人的にはこのペン芯カッコよくて好きです。パッと見PARKERのDuofoldみたい。

実際に書いてみる

普通のコピー用紙にお絵描きしてみました。インクはペリカンのエーデルシュタイン、タンザナイト。やはりオールドスタイルな万年筆にはブルーブラックが似合います。改めて見てみても、亀さんの様に丸っこくて可愛いな此奴。

書き味は関してはもう特に言う事はなさそう。よくあるサラサラ系です。

比べてみる

同じくコンクリンのデュラグラフと比べてみました。価格は似たり寄ったりで、どちらも1万円程度。でも一万円にしては中々のクオリティですよ。ありふれた見た目の万年筆に飽きてきた人が遊ぶ目的で買うには悪くない選択肢だと思うんだけどなぁ…生憎日本からは撤退してしまいました。残念ですね。

オールアメリカンの重量は約30g。結構重たいですね。胴軸の樹脂がかなり分厚いのが原因でしょう。キャップを外せば20gくらいになるので、個人的には好みの重さ。でもちょっと全体的にツルツルしてるし段差も多いので持ちづらいんですよね…やっぱりマジメに筆記するために買う万年筆じゃないなぁ。万年筆ヲタクのためのペンですね。

胴軸径は15mmあり、たぶんモンブランの149と同じくらい。ずんぐりむっくり感の正体はこの太さにあります。太いせいで分かりづらいですが、実はこの万年筆、キャップを締めた状態で全長144mmあり、万年筆としては結構長い部類です。これは#3776Centuryより長いです。太いだけじゃなくて結構長い…要するに木偶の坊的な万年筆なのです。

総評

「あ〜いかにも古めかしい万年筆欲しいなぁ〜でも古過ぎるとメンテナンスとか大変だし面倒だなぁ〜どっかに100年前の万年筆、新品並みの状態で落ちてないかなぁ〜」←この様な方にオススメの万年筆です。